オンライン配信
オンライン配信のハイブリッド配信とは?どんなメリットがあるの?導入方法も解説
オンライン配信の一種として、「ハイブリッド配信」というものがあります。しかし、ハイブリッド配信とは一体どのような配信方法なのか、見当がつかないという方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回はハイブリッド型のオンライン配信について詳しく見ていきます。ハイブリッドでオンライン配信を行うメリットや、実際の配信方法もチェックしましょう。
ハイブリッド配信とは?
もともと「ハイブリッド」という言葉には、「複合」「混合」という意味があります。つまり、ハイブリッド配信とは何らかのものをかけ合わせた配信方法のこと。では、何がかけ合わされているのかというと、オフラインとオンラインです。
さらにかみ砕いて説明すると、実際のイベント会場に集まって対面開催される(オフラインの)イベントやセミナーなどの内容を、オンラインでも配信することをいいます。つまり、参加者にとって、参加方法の選択肢が2つあることになります。
ハイブリッド型のオンライン配信は、オフラインとオンラインのいいとこどりができるのが特徴です。多くの場合、オフラインの参加人数よりもオンラインでの参加者のほうが多いという傾向があります。
ハイブリッド配信を行う5つのメリット
では、ここからは、ハイブリッド配信における5つのメリットを取り上げていきます。
リアルの開催のみよりも参加がしやすい
リアル会場でのオフライン開催では、遠方のため参加できないなどの理由から参加を断念していた層も、ハイブリッド型であればオンラインという選択肢ができるため参加しやすくなります。全国どこにいても参加できるという点は、大きなメリットです。
どこからでも参加できるため、自由度が高く参加に対するハードルは低くなり、オフラインのみの場合に比べて多くの人を呼び込みやすくなります。そのため、集客もしやすいといえるでしょう。
参加人数の枠を大きく増やすことができる
オフラインでイベントを開催する場合、会場の規模や状況によって、参加人数を限定せざるを得なくなることもあります。
しかし、ハイブリッド配信ではオンラインでの視聴が可能なため、オフライン会場の収容人数よりも多くの人数が参加することができます。参加希望者が予想を上回った際も、参加人数の上限を増やしやすいです。
会場の臨場感や一体感を感じやすい
オンライン配信のみで行うイベントは、臨場感が伝わりにくく視聴者同士の一体感も感じづらいというマイナス面があります。
しかし、ハイブリッド配信なら実際の会場にいる参加者の反応を目にすることができるため、オンラインで視聴している人も、会場の空気感や他の参加者との一体感を得やすいです。
アーカイブ化することができる
オンラインで流した映像を録画して配信することで、イベント終了後にも内容を視聴することができます。都合が合わず参加できなかった人も、好きなときに見られて便利です。
また、運営側にとっても違う目線でイベントを見直すことができ、改善点などに気づけるというメリットがあります。
万が一のときにも中止にならずオンラインでイベント開催ができる
何らかの理由で参加者をオフライン会場に集めることができなくなった場合も、ハイブリッドでオンライン配信を予定していれば、完全オンラインに切り替えてイベントを実施できます。
イベントを中止せず予定通り開催できるのも、ハイブリッドやオンラインならではのメリットです。
ハイブリッド配信にデメリットはあるの?
前章で見てきたようにメリットがたくさんあるハイブリッド配信ですが、デメリットもあります。4つの点をチェックしましょう。
オンライン配信のみよりもコストがかかってしまう
1つ目は、コストの問題です。実際に参加者が集まれるオフライン会場も準備しなくてはならないので、オンライン配信のみで開催するときよりも費用が高額になります。
また、イベントの準備・会場の設営・イベント当日の運営・撤収といった手間も、オフラインのみ・オンラインのみのときに比べて二重にかかってしまいます。
配信の環境を整えるのが難しい
ハイブリッドだけでなくオンライン配信全般にいえることですが、オンライン配信に詳しい人材がいない場合、適切なインターネット環境を整えることや、配信ツールの選択、マイク・カメラのような配信機材の用意など、知識の必要な準備が難しいです。
この点を解消するには、配信のプロである外部業者や専門家に依頼する方法があります。
参加者への配慮がより必要になる
オフラインでの参加者と比べると、オンライン参加者はどうしても臨場感が乏しく、疎外感を感じてしまいがちです。そのため、オンライン視聴の場合でも会場参加者と一緒に楽しめるよう、配慮や対応をしなければなりません。
配信トラブルが起こりやすい
オンライン配信では、配信におけるさまざまなアクシデントが起こりやすい点も頭に入れておきましょう。
具体的には、通信が安定せずつながりにくかったり、マイクやカメラといった機器にトラブルが生じ、音声や映像にノイズが入ったり途切れてしまったりということが想定されます。
このようなトラブルによって配信が中断してしまった場合、そのままオフラインのみでイベントを進行するのではなく、オンライン参加者への配慮が必要です。
ハイブリッド配信を導入してみよう!必要な準備
ハイブリッド型オンライン配信のメリットやデメリットを理解できたところで、つづいてはハイブリッド配信を行うのに必要な準備を紹介します。
配信するプラットフォームの選定
オンラインで配信をするにあたって、配信用のプラットフォーム(ツール)が必要です。ZoomやYouTubeなど多くの種類があるので、参加人数や搭載機能などを考慮しつつ、どのプラットフォームで配信を行うのかを決めましょう。
なお、プラットフォームの種類によっては、オンライン参加者のカメラやマイクは自動でオフにされる場合もあります。顔出しや発言が必要な場合など、イベントの内容に応じてフレキシブルに選択することも大切です。
会場の選定
イベントを行うリアル会場を選定することも必要です。どれくらいの人数を収容できるかというキャパシティや会場の立地のほか、オンライン配信が可能か、上記で決めたプラットフォームに対応しているかどうかも考慮に入れなければなりません。
配信機材
オンライン配信に適したインターネット環境や、パソコン・マイク・カメラ・モニターなどの配信用機材も準備します。インターネット環境は、高速かつ安定したものであることが重要です。接続状態もきちんと確認しましょう。
また、オンライン参加者にも、視聴に適した環境を整えてもらうことが大切です。視聴している最中に不具合が起こらないよう、事前に推奨環境を伝え、準備してもらいましょう。
なお、オンライン配信に必要な機材について詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてください。
関連記事:オンライン配信にはどんな機材が必要?マイクやカメラなど用意したいものを紹介
マイクやカメラは事前に配信テストをしておこう
配信中にトラブルが発生しないよう、途切れたり暗くなったりせずきちんと音声や映像が流れるか、雑音やノイズが入らないか、カメラの角度や位置はよいかなど、前もって機材の動作チェックをしておくことが大切です。
さらに、不慮のアクシデントに備え、可能であれば予備の機材も用意しておきましょう。
アーカイブ化できるようにする
オンラインではライブ配信だけできればいいのではなく、録画してアーカイブ化できる環境を整えておくことも大切です。イベント当日に参加できなかった人が、後日アーカイブ動画を視聴できるように準備しておきましょう。
双方向でやり取りができるようにする
イベント内容にもよりますが、チャットや拍手・挙手のようなリアクション機能など、オンライン視聴者からの反応も見えるような機能があるとベターです。プラットフォーム選定の際に、考慮するポイントとして覚えておくとよいでしょう。
双方向でコミュニケーションができることにより、デメリットで挙げた「オンライン視聴者の疎外感」の解消につながります。
ハイブリッド配信はこんな事例に向いている
ハイブリッド配信はどのようなシーンで活用すればよいのでしょうか。ここでは、ハイブリッド配信に向いている事例を紹介します。
講演会
まず、講演会やシンポジウムなどの開催時に、ハイブリッド配信を利用するのがおすすめです。登壇者が複数になる場合もあり、会場に来られない遠方の登壇者にもオンラインで登壇してもらうことができます。
さらに、海外からも登壇・参加できるため、旅費や宿泊費といったコストを減らすことも可能です。
入社式、入学式
入社式や入学式をハイブリッド配信することも可能です。
たとえば、支社・支店といった拠点を全国各地や海外に構える企業などは、1カ所に集まって入社式を行うのが困難な場合もあるのではないでしょうか。しかし、ハイブリッド配信なら、各地に点在している新入社員を本社に集めなくても入社式を開催できます。
セミナー、研修、勉強会
セミナーや研修会、勉強会などをハイブリッド配信で行う方法もあります。リアル会場のみの開催では、ソーシャルディスタンスなどを考慮し、思うように人数を集められないこともあるかもしれません。
しかし、ハイブリッド配信ならオンラインでも参加でき、実際の会場にいなくても、登壇者の表情やオフライン参加者の様子など、リアルな空気感を感じながら視聴することができます。
株主総会
株主総会は、ハイブリッド配信がよく行われるイベントの1つです。オンラインで開かれる株主総会のことを「ヴァーチャル株主総会」とも呼び、時の総理大臣が積極的なオンライン化を提唱したことでも知られます。
株主総会は企業に義務化されているものでありながら、多くの株主が一堂に会することにより「密」になりやすいという点が懸念されていました。しかし、ハイブリッドであればリアル会場に赴かずにオンラインで参加できるため、密を回避することが可能です。
ヴァーチャル株主総会については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:オンライン配信で行うヴァーチャル株主総会とは? 開催の流れと注意点を紹介
ファンミーティング
芸能人・スポーツ選手・アイドルなどと交流ができるファンミーティングも、ハイブリッド配信で行われるケースが出てきました。
首都圏など都会で開かれることが多く、これまで参加できなかった地方在住者や、感染へのリスクを考えてリアル会場に行くのを控えたい人も、ハイブリッドなら好きな場所から参加できます。
大好きな相手のオフモードの姿を、自宅にいながらにして堪能できるのは、ファンにとってこの上ない喜びなのではないでしょうか。
ファンクラブ会員限定のイベントにすることもでき、参加者しか体験できないコンテンツを取り入れることにより、特別感を演出しやすくなるでしょう。
ハイブリッド配信はメリットがたくさんある
ハイブリッド配信とは、イベントなどの実施時にリアル対面でのオフライン開催とオンライン配信を組み合わせ、参加しやすくしたものであることがわかりました。オフライン・オンラインでのいい部分をダブルで享受することができ、メリットの多い方法です。
一方で、主催者にとっては、コストがかさむ・準備や参加者への配慮などの負担が増えるというデメリットもあります。メリット・デメリット両方を考慮したうえで、ハイブリッド配信の導入を検討してみてはいかがでしょうか。